2010年07月28日(水)
[メンタル]なぜ憂うつだと周囲の全てが色を失い灰色に感じるのか?

憂うつで周りの全てのものが色を失い、灰色に感じてしまう……。うつ病や抑うつ神経症でなくても、こんな状態に陥った経験のある人は多いと思います。言語、文化、時代によらず、個々人の芸術家の個性を問わず、芸術作品において憂うつであること、抑うつ状態は暗い色調で表現れてきました。
こうした心的現象に対する科学的アプローチが、ドイツ・フライブルク大学のLudger Tebartz van Elst教授らによって、Biological Psychiatry 7月15日号に発表されました。教授らは40人の大うつ病患者(20人が服薬治療中、20人は投薬治療なし)と比較対照する40人の健康な人を対象に実験を行ないました。以前の関連研究から、うつ病患者が白黒のコントラストの検出能力に困難があることが知られていたため、今回の研究では白黒コントラストに対する網膜の反応を調査するために、被験者の網膜電図が測定されました。
その結果、うつ病患者(服薬中、投薬なし問わず)の網膜コントラスト・ゲイン(retinal contrast gain=網膜のコントラストに対する反応)が劇的に低いことがわかりました。またうつ病の症状の重さとコントラスト・ゲインに相関があり、症状が重ければ重いほどコントラスト・ゲインが低い(コントラストがはっきりしない)こともわかりました。
うつ病の症状が重い人は周囲の世界がコントラストのはっきりしない、鮮やかさに欠けた、生き生きとした楽しさがない世界として見えているわけです。教授はこの結果を受けて網膜電図の測定法が、うつ病患者の診断と治療に寄与できるのではないかとしています。
医療ジャーナリスト 宇山恵子
Biological Psychiatry 7月15日号
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