2010年07月05日(月)
[サイエンス]皮膚の触覚(触れた感じ、触った感覚)が人の社会的判断に大きな影響を及ぼしている

米国・イェール大学のJohn A. Bargh教授とMIT・ハーヴァード大学によるグループがScience 6月25日号に発表した研究で、重さや硬さ、ザラザラかスベスベか、などの皮膚からの感覚が無意識のうちに、そのもの自体とは無関係の事柄についての人間の判断に、影響を及ぼしていることが分かりました。
研究では、いくつかの実験が行われました。例えば重さの違うクリップボードに、就職希望者の履歴書を挟んで被験者に判断させたところ、重いクリップボードに挟まれた履歴書の志望者の評価がより高くなり、被験者も自分の判断がより重要な意味を持つものとして、正確を期すようになっていました。硬さの実験では職場の管理者と従業員に生じた判断が、難しい話を聴かせる前に、、柔らかい毛布を触ったグループと木のブロックを触ったグループを比較すると木のブロックのグループの方が、従業員をより頑固で融通が利かないと判断したそうです。
手触りの実験では、ザラザラしたパズルとスベスベしたパズルを触った後で人間関係についての話を聴かせると、ザラザラグループは話の内容をよりトゲトゲしく、ぎくしゃくしたものとして描写したそうです。
研究チームによると皮膚感覚は、この世に出てきたとき、最初に使われる感覚であり、母親の温かい手で優しく撫でられた心地良さや、安心感などが基礎的経験として存在し人間の認知や判断に無意識のうちに作用しているのではないか、抽象的な事柄の理解にも比喩的に触覚に基づく表現が用いられていることからも、そうしたことが理解できるとしています。そして触覚戦略を上手に使用することが、社会的影響力やコミュニケーションにおいて重要になってくる可能性を指摘しています。
医療ジャーナリスト 宇山恵子
Science 6月25日号
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