2011年12月20日(火)
【メディカル】生物時計の違いが卵母細胞と体細胞の老化のスピードの違いを生じさせる!

米国・プリンストン大学のColeen Murphy博士らが、2011年12月3~7日までコロラド州・デンバー市で開催された2011 American Society for Cell Biology Annual Meetingで12月6日に発表した研究で、卵母細胞と体細胞とは、異なる分子メカニズムで老化プロセスをたどるため、老化のスピードに違いがあることがわかりました。
博士らはこれまでの研究で、Cエレガンスという線虫が、遺伝子変異によってインスリン制御が変化し、寿命が2倍に延びることが知られていることから、この線虫を使用して卵母細胞と生体細胞の老化の違いを明らかにしようと、今回の研究を企画したということです。インスリン制御は、人間の寿命にも関与していることが知られています。
博士らは以前の研究で、すでにこの線虫の卵母細胞も、人間と同様に寿命の半ばでその機能を果さなくなってしまうことを明らかにしており、今回は、マイクロアレイ技術によって、この線虫の体細胞と卵母細胞の老化に、どのような違いがあるのかを調査分析しました。
長寿になるような遺伝子変異を持つ線虫の体細胞の遺伝子発現パターンと、卵細胞のパターンを比べたところ、そのパターンは異なっており、長寿の線虫では、インスリン様増殖因子1(IGF-1)の変異が、体細胞の寿命に影響していて、卵母細胞の若さの維持にはトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)の変異が影響していました。
博士によると線虫が長命になる最も重要な要素は、タンパク質と細胞の質が良好に維持されることであるのに対して、卵母細胞が健康で良好な若々しい状態で保たれていることに関しては、染色体(DNA)の完全性と細胞周期の制御が最も重要であるという違いがあり、これが体細胞が若さを保ち、長命であっても卵母細胞が、そうはではないことに繋がっているのだそうです。
博士は現代女性が持つ高齢出産への希望を考えると、卵母細胞の老化をいかに遅らすことができるかが、明らかにできれば、リスクを減少することが可能であり、さらに研究が望まれるとしています。
医療ジャーナリスト 宇山恵子
American Society for Cell Biology プレスリリース 2011年12月6日
http://www.ascb.org/pressbook/2011/ASCB11_p4_Murphy.pdf
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