2011年06月25日(土)
【メディカル】米国人の死に至る原因!低学歴や貧困による死亡は心臓病や脳卒中と数的に同水準!

社会・経済・文化などの要因が、人の健康に影響を与えていることは、研究者でなくとも理解しているところだと思います。
この社会集団や個人の疾病罹患や健康状態に与える、文化や経済など社会構造要因の影響と、メカニズムを明らかにしようとする疫学的な領域は、「社会疫学」と呼ばれ、近年注目されるようになっています。
この社会疫学の視点から、米国人の死亡原因を分類した研究が、米国・コロンビア大学のSandro Galea博士らによって、American Journal of Public Health 2011年6月16日オンライン版に発表されました。
博士らはMEDLINE医学文献データベースを使用して、1980年から2007年に英文で発表された研究から、社会的な要因と成人の死亡原因の関係について推定した研究を収集し、最終的に選び出された47の研究についてメタ分析しました。
この先行研究のメタ分析によって算出された、それぞれの社会的要因の死亡へと至る相対危険度を使用して、国勢調査や人口動態調査で得られた社会的な要因それぞれの数的データを基に、どの要因でどの程度の人が死亡に至っているのかを推計しました。
分析に使用された社会的要因は、個人レベルでは教育水準、貧困、健康保険、雇用状態、職業ストレス、社会的サポート、人種差別、住居の状況、幼児期のストレス要因が挙げられ、地域的なレベルでは、居住地域の貧困の程度、所得格差・不平等、居住エリアの建築物の老朽化、人種による隔離、犯罪や暴力の発生状況、社会資本と公园などの利用可能状況等が挙げられました。
データを分析した結果、2000年の米国人の死亡者数(年間約245万人)から推定された個別の社会的要因による死亡者数は、24万5千人が低学歴による死亡、17万6千人が人種による隔離、16万2千人が社会的サポートの少なさ(社会的孤立)、13万3千人が個人レベルでの経済的貧困、11万9千人が所得格差・不平等、3万9千人が地域的なレベルでの貧困が原因で死亡していると算定されました。
低学歴が原因での死亡者数24万5千人は、米国人死因の第1位である心臓発作による死亡者数19万3千人を、人種による隔離による17万6千人は、死因第3位の脳血管疾患・脳卒中による死亡者16万7千人を、社会的サポートの少なさ(社会的孤立)の16万2千人は、肺がんの15万5千人を、それぞれ上回っていました。
博士らは社会的要因を改善することが、いかに国民の健康にとって重要なことか、この結果から理解しされるのではないかとしています。
医療ジャーナリスト 宇山恵子
American Journal of Public Health 2011年6月16日オンライン版
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