2011年05月20日(金)
【メディカル】虫がはう感覚(蟻走感)は皮膚ではなく脳で起こる?!
虫や寄生虫などが皮膚をはっているような感覚(蟻走感)を訴える患者の多くは、実際に寄生虫などが寄生しているわけではなく、ほとんどが妄想によるかゆみや不快感であることが、米国ロチェスターのマイヨークリニックに所属するMark D.P.Davis 博士らの研究で明らかになり、5月16日付のオンライン版Archives of Dermatologyに発表されました。
これは同病院に2001年から2007年に虫がはう感覚を訴えて通院した患者108人の診察記録を分析したもので、患者の症状は平均2.3年継続していました。患者の79%は虫、20%が寄生虫、3%が寄生虫の卵かいるような感覚を持ち、22%が線維、粒子、ガラス、自動車のオイルなどの無生物が付着している感覚を持っていました。患者の何人かは複数の症状を抱えていました。そのうちの80人は皮膚の組織検査を行っており、そのデータを分析したところ、3分の2の患者が皮膚炎を起こしていました。
しかし、実際に寄生虫が寄生していた皮膚組織は1つしかなく、恥骨周辺にシラミが寄生しているケースがありました。もう一人の寄生虫の卵が寄生していると思っていた患者を調べると、肛門周辺に単純ヘルペスがあることがわかりました。シラミの寄生については、患者の多くが訴える、爪の不自然な違和感を説明するには不十分と考えられました。
患者の皮膚組織をさらに詳しく調べると、かゆみでかきむしった傷、擦過傷などがあり、これが炎症の原因になっていると考えられました。また、傷のできた皮膚の部分にはかさぶたや壊死した皮膚組織が残っており、ここに病原菌が発生したり、刺激物質が付着する原因になる可能性もあると考えられるそうです。また患者自身がスキンケアに使っていたものの中に腐食性の刺激物が含まれており、これも違和感の原因になっている可能性があるということです。
今回の研究では、一般的には蟻走感などの症状を訴えても、十分に治療や原因の究明をしてもらえないケースが多く、根本的な解決が見出せない患者のために、改めてその原因究明を科学的に行い、患者に自分の症状を正しく受け止めてもらう一助となればいいと研究者らは考えているそうです。
医療ジャーナリスト 宇山恵子
Hylwa S, et al "Delusional infestation, including delusions of parasitosis: results of histologic examination of skin biopsy and patient-provided skin specimens" Arch Dermatol 2011; DOI: 10.1001/archdermatol.2011.114.
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