2011年04月30日(土)
【メディカル】ニューロ・ロボティクス技術で主観的自己意識の在処が明らかになった!

自分が今ここにいて周囲の世界を認識しているという確信、覚醒した正常な意識状態にある場合の周囲の世界を認識しうる主観的自己意識、こうした確信はどこから来るのか、どこに根拠があるのか、主観と客観、意識の主体としての自分と、客観的に認識される側の自分の肉体は、どこでどう関係しているのかなど、古くから哲学者を悩ませてきた難問です。
脳神経科学でも、ある種の脳に障害を負った患者の症例研究から、幽体離脱体験、ドッペルゲンガー体験(自己像幻視)などが、側頭頭頂接合部(temporo-parietal junction ・TPJ)に深く関係していることなどから、この側頭頭頂接合部が自己意識と深く関係していることが知られていましたが、健常者の自己意識の座がどこにあるのかを追求する脳神経科学的研究は、これまであまり行われていませんでした。
スイス・Ecole Polytechnique Fédérale de LausanneのOlaf Blanke博士らが、Neuron 2011年4月28日号に発表した研究で、頭頂接合部こそが認識主体としての主観的自己意識を司る脳の領野であることが明らかになりました。
Blanke博士らはスイス・チューリッヒ工科大学の研究チームが開発した、fMRI画像に対応したロボット技術を使った機器を使用して、健常者を被験者として実験を行い、その際の脳活動をfMRIの画像で分析しました。
実験は上記の機器を使用し自己の位置感覚と主観的一人称的な視点(外界の見え方)に変化を生じさせ、その際の脳の活動部位を調べるというものでした。
データを分析した結果、自分自身が実在し、空間の特定の場所に存在し、その場所から世界を認識して、周囲を客観的に見ていることを実感するために、決定的な働きをしているのが、側頭頭頂接合部であるということが明らかになりました。博士らはこの結果から人間の心の働きの大きな謎である、自分自身が今ここにいるという自己意識についての科学的理解が進んだのではないかとしています。
医療ジャーナリスト 宇山恵子
Neuron April 28th,2011
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