2011年02月10日(木)
【ライフスタイル】酒は百薬の長ではないかも?!~少量のアルコール摂取で脳梗塞を起こす心房細動のリスクが高まる!

少量のアルコール摂取は、心臓や血管の健康に良いと信じられていますが、大規模調査の結果では、脳梗塞を引き起こす可能性がある心房細動のリスクを高めているかもしれないことがわかりました。
これは筑波大学医学部の曽根博仁教授らが行った調査で、2011年1月25日号のJournal of the American College of Cardiologyで報告されました。
教授らは、北米とヨーロッパで行われた13万820人を対象とした、飲酒と心房細動、心房粗動に関する14の疫学調査を分析。アルコール摂取がもっとも高いグループは、ほとんどアルコールを摂取しないグループに比べて、1.51倍も心房細動を起こすリスクが高いことがわかりました。さらに、アルコール摂取が10g(ビール250ml、日本酒0.5合、ワイングラス1杯程度)ずつ増えると、心房細動のリスクが8%ずつ高くなるそうです。
心房細動は、40代から発症しはじめ、60代以上の人に多い病気。脈が乱れる不整脈の一種で、脈拍が100~150に上昇し、動悸や息苦しさが起こり、急に歩けなくなったり、胸の痛みを感じます。心房細動は何らかの原因で、右心房と左心房に電気的な刺激が起こり、心筋が電気刺激を受けて脈拍が速くなり、これによって不規則で早い動きになってしまうので心臓が正常に血液を送り出すポンプ機能を果たせなくなり、心室側に血液が流れなくなって、結果的に全身の血流が悪化します。全身の血液量が減ると、血液がドロドロになって凝固しやすくなることで、動脈が詰まってしまう血栓症や、凝固した血液の塊が、血管を塞ぐ梗塞を起こしてしまうのです。特に細い血管が多い脳では、梗塞を起こしやすく、心房細動は脳の健康を守るためにも、注意すべき疾患です。
アルコール摂取が心房細動を引き起こすメカニズムについては、今回の研究では明らかになっていませんが、アルコール摂取量の増加が、アドレナリン過剰症を誘発して、正常な心臓のリズムを維持することを妨害したり、迷走神経の緊張障害を起こしたり、さらには心筋へ直接的な悪影響を及ぼすことや、心房細胞に電気生理学的な変化を起こすことが関係しているのではないかと推察できるようです。またアルコール摂取が引き起こす血圧の上昇も、心房細動の誘発に関係していると考えられるそうです。
今後の研究では、摂取したアルコールの種類や飲酒のパターンなどについての関係も調べる必要があるそうです。
医療ジャーナリスト 宇山恵子
Journal of the American College of Cardiology 2011年1月25日号
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